予防+進行を防ぐ認知症対策 認知症はじめて講座Ⅱ

創刊号で好評だった『認知症はじめて講座』。
『認知症はじめて講座Ⅱ』では、認知症予防を目的とした生活習慣の改善、そして、身近な人が認知症になった際にどのように介護したら良いのかをテーマに紹介します。
また今回は、大分大学医学部神経内科学講座 木村成志准教授に「認知症予防の秘訣」を語ってもらいました。 正しい知識をきちんと知り、日々できることを実践し、認知症予防に取り組みましょう。

※認知症はじめて講座Ⅱは、「認知症ノート(監修)大分大学医学部・(発行)大分県福祉保健部 高齢者福祉課」を基に制作しています。

認知症を予防するためにはどうしたらよい?

 「認知症」を予防するためには、日々の予防が何よりも大事。
生活習慣病の予防・治療、食習慣の改善や運動を心がけて、「認知症予防」に努めましょう。

良いもの、悪いもの

ポイント!脳と心の活性化で「認知症」を予防しましょう!

「認知症」の方の対応・介護で大切なこと

「認知症」になっても失われない知恵や思い、「認知症」により生じる感情

 「認知症」の方は、緊張や不安がとても強く、焦りやいらだち、疲れやすさ、孤独感も感じています。本人にしかわからない心の様子をしっかり察してあげ、心落ち着いて安心できるよう介護することが大切です。一方、その方が人生を重ねるなかで培ってきた知恵、身体で覚えた記憶、大切な人への思い、自分の誇りは失われてはいません。「認知症」があっても適切な環境や介護により、自分らしく生活することができるのです。

BPSD(認知症の行動・心理症状)への対応

「認知症」の方にとっての理由を知る

周りからみると徘徊でも、本人にとっては「戻る場所がわからない」「仕事に行く」などの様々な理由があります。そのような状況では無理に制止せず、しばらく一緒に歩きながら本人の言動に耳を傾ける ことで、理由がわかることがあります。

BPSDがおきるきっかけをさぐる

BPSDは、身体や薬、環境等の変化がきっかけでおこることがあります。きっかけとなる状況を改善することで、症状を防ぎ、和らげることができます。

BPSDのきっかけ

BPSDのきっかけ

介護のポイント

「認知症」が心配で、病院を受診する時の心構え

認知症予防の秘訣

 10年後には、65歳以上の5人に1人の割合に達すると言われている認知症。
老年期以降も生き生きと暮らしていくために、「認知症予防」はじめませんか?

「なる前」と「なった後」
どちらにも適切な予防が大切です

生活習慣にかかわる認知症の7大要因

 そもそも、認知症が引き起こされる要因はわかっているのでしょうか?
 認知症の原因で最も多いアルツハイマー病は、脳内にアミロイドβタンパクやリン酸化タウタンパクが蓄積して発症するものですが、その予防法についてはまだ多くの疑問が残っている段階です。しかし近年の研究によって、アルツハイマー病になりやすいとされるリスクが判明してきました。その7大因子と呼ばれているのが、糖尿病、中年期の高血圧、肥満、運動不足、うつ病、喫煙、低学歴です。今後これらの要因をそれぞれ10%ずつ軽減できれば、2050年には世界の認知症患者を900万人も減らせると言われています。

 そのために普段からできる予防法はありますか?
 予防したからといって絶対に認知症にならないというわけではなく、「予防することで発症を遅らせる」という意味で捉えていただきたいのですが、そのためには7つの危険因子を引き起こさないような生活習慣が大切になってきます。まずは、食事。特に注目されているのが魚、野菜、豆類、果物、オリーブオイルをバランスよく摂取する地中海料理です。南フランスで行われたある調査では、週に1回青魚(サバ、イワシ、マグロなど)を摂取すると、約40%の人の認知症発症率が軽減したという結果が報告されています。また、1日適量(250~500ml)のワインも効果があると言われていますし、脳梗塞による死亡率を下げるとして緑茶の摂取も勧められています。最近の日本人での研究では乳製品や牛乳にも予防効果があるといわれています。 ― 食事のほかに、効果が期待されるものは?
 何よりも大切なのが、運動です。そして知的活動や余暇活動も。知的活動の中には人との会話や社会的交流も含まれており、例えばひとり暮らしで週に1回しか他人に会わない人は、家族と同居して週に1回以上他人と会う人に比べて、認知症の年間発症率が8倍も高くなるのです。つまり、運動しながらいきいきと生活することが大切です。

脳の「予備能力」を普段から鍛える

 そもそも、脳の認知機能には「予備能力」というものがあります。この予備能力には限界があり、限界を超えると認知症の症状が現れます。ところが予備能力の上限は鍛えれば上げることができるのです。そのために効果があるのが、運動や知的活動、余暇活動。毎日、家族や友人とおしゃべりをしながら1日30~50分のウォーキングをするなどできれば、理想的ですね。脳血流の改善、血圧や脂質の低下、肥満の抑制、神経成長因子の増加などさまざまな効果が期待できます。
 ここまでお話したのは、認知症の発症を遅らせる予防法ですが、実は認知症を発症した後の予防法もかなり重要になってきます。

発症後の進行を遅らせる感情面のケア

 発症後の予防とは、具体的にどんなことに気をつければよいのでしょう?
 認知症を発症した後は早く治療をはじめて進行を遅らせること。そして、周囲の環境作りが必要になります。周囲の接し方次第では、多少の物忘れこそあっても徘徊や妄想、攻撃性、幻覚など問題となる症状がでないようにすることができるので、「発症後の進行を予防する」ための適切なケアが大切になるのです。  特に覚えておいていただきたいのが、認知症の人は、記憶が低下するぶん感情が豊かになるということ。相手の目やしぐさ、話し方から「この人は私にとって良い人だろうか?」ということを一瞬で読み取ります。そのため最もしてはならないのが、認知症というレッテルを貼ること。まるで悪いことをした人だといわんばかりに「困った人」「社会生活に適応できない人」などといって敬遠すると、本人は大変な疎外感や喪失感を感じます。家庭内で「外出してはダメ」「お金を持ってはダメ」と、することなすこと禁止してしまうのも同じです。また、「ご飯食べたの?」「また忘れたの?」「服着替えたの?」などと過剰介入するのもストレスになります。
 たとえば、認知症のおじいさんが財布を探しているとします。おじいさんは「盗ったんじゃないか」と言い出します。しかし、少し時間がたつと「何か探しにきたんだけど、何を探していたか忘れた」とか、「盗ったんじゃないか」と言ったことすらも忘れます。こんなとき家族は、「一緒に財布を探そうか」と言ってあげましょう。そうすると、おじいさんの感情には「この人たちは自分の味方だ」という安心感が残るのです。逆に「忘れてしまうなんて、ダメじゃないか」「ちゃんとしないからだ」と非難するのはよくありません。「この人たちは怒る人だ」と認識し、暴力を振るったり、安心できる家に帰ろうとして徘徊を始めるのです。
 つまり、心理の奥にある感情を汲み取ってあげることが大切。財布を盗られたというのは、本当に財布が必要なのではなくて、一緒に探してほしいということなんです。できることなら、住み慣れた家で最後まで穏やかに暮らせるようサポートしてあげていただきたいと思いますが、そのための秘訣は感情面を穏やかに保ってあげること。それが認知症の進行を遅らせる、発症後の予防法です。

上手に付き合いながら家族、地域で見守って

認知症発症後の適切なケア

 ちなみに認知症は、遺伝による場合もあると聞きましたが?
 たしかに、遺伝によるケースもありますが、5%以下と本当にごくわずかですし、家族性の認知症の場合は40~50代で発症します。親が40~50代で認知症になったという方は、その子どもも同じくらいの年齢で発症する場合が多い。それよりも、認知症は「年を取れば誰でもなり得るもの」と考えておいていただきたいと思います。決して他人事ではないのです。だからこそ「現時点では、良くなる方法を探す」というのではなく、「上手に付き合い天寿を全うする」というスタンスでいることが大切。暮らしの拠点が家庭であれ施設であれ、温かいケアが受けられる環境を整えてあげていただきたいですし、さらには、たくさんの人で高齢者を見守って行ける地域づくりが進むことを願っています。


木村 成志 さん

大分大学医学部神経内科学講座 准教授

木村 成志 さん

【専門】神経内科全般、認知症、神経病理学(医学博士・日本認知症学会専門医・日本認知症学会指導医など)

「もしかして…認知症?」そんな時は迷わず相談!

 認知症は早期発見、早期治療ができれば、それだけ進行を遅らせる可能性があります。
 自分自身、家族や友人など周りの人で「もしかして認知症では?」と思われる症状に気づいたら、一人でクヨクヨ悩んだり、知られたくないからと家族で隠したりせず、まずは相談することが大切!

主な相談先
医療相談

●大分県認知症疾患医療センター【専門医療相談】

本人や家族・関係機関からの認知症の相談に、専任の相談員が応じてくれます。

緑ヶ丘保養園 tel. 097-593-3888 大分市丹生1747
向井病院 tel. 0977-23-2200 別府市南立石241-15
千嶋病院 tel. 0978-22-3125 豊後高田市呉崎738-1
加藤病院 tel. 0974-63-2263 竹田市竹田1855
長門記念病院 tel. 0972-22-5833 佐伯市鶴岡町1-11-59
上野公園病院 tel. 0973-23-6603 日田市上野町2226-1

●大分オレンジドクター(もの忘れ・認知症相談医)

大分オレンジドクターは、大分県が登録した「もの忘れ・認知症相談医」。本人はもちろん、家族からの相談にも対応してくれます。大分オレンジドクターの名簿等情報は、大分県のホームページで検索できます。

大分県のホームページ http://www.pref.oita.jp/

※相談にあたっては原則診察料がかかります。また診療時間・診療方針・診療内容等については医療機関により異なるので、詳細は直接、医療機関へ問い合わせを

相談全般

●お近くの地域包括支援センター
●お住まいの市町村の介護保険・高齢者福祉担当課
●お近くの保健所
●大分県こころとからだの相談支援センター【tel.097-541-6290】

認知症に関する電話相談
シルバー110番 tel. 097-558-7788
認知症の人と家族の会 tel. 097-552-6897(大分)
大分市明野東3-4-1(大分県社会福祉介護研修センター内)【tel. 0972-22-7708(佐伯)】

認知症の方とその家族を支援する全国組織の大分県支部。

CHECK

県内各地で「つどい」を開催しているので、気軽に参加できます。日程等は問い合わせを。

※「つどい」とは、若年性認知症も含めた認知症本人やその家族、サービス事業者、専門家の懇談会です。

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